去年の12月26日に法務大臣に就任して、ちょうど1年が経ちました。
大臣として法務省に入ってみて、まず驚いたのは懸案の法案がたくさんあることでした。従って、国会もなかなか忙しく、窮屈な日程でありました。しかし10本の法律を成立させることができました。中でもハーグ条約関連の法案を通すことができたことは非常に良かったと思っています。これは私が就任する以前より在東京の各国大使館等々から早く成立をさせて欲しいというご要請をいただいていた長年の懸案でした。
このところ、私の地元である京都でいくつかの重大自動車事故がありました。これは京都だけの問題ではありませんが、自動車関連の刑事立法は被害者の意を酌んで成立させることができました。
最高裁判所では様々な判決がありましたが、結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子の遺産相続分を嫡出子の2分の1とする民法900条4号但書について違憲とする判断が示されました。これを受けての民法の改正も党内議論等、多々あった案件でありましたが、国会審議を経て違憲状態の解消を図ることができたことは成果だったと思っています。
私が大臣に就任した時に、総理から「再犯防止に力を入れて欲しい」というご下命をいただきました。もちろんこれはまだ道半ばで、来年も引き続き努力をしなければならないことですが、その中でもいくつか進んだことがあったと思っています。再犯防止のためには出所した方々の居場所がなければいけない。やはり職というものが大きいわけです。職親プロジェクトというかなり力を入れた取り組みを民間企業がされています。また、今年の5月からは法務省法務局でも保護観察中の少年を雇用するという試みを始めました。
法案との関係で刑の一部執行猶予という法律が成立したのですが、これも社会内処遇というものにより力を入れて再犯防止への道筋をつけていく上では極めて大事な法律であったと思います。
しかし、まだいくつかの案件が残っていて、矯正医療等はかなり厳しい状況にきています。何とかして刑務所の医療を立て直さなければいけないという課題を背負っています。
挙げていくとキリがありませんが、例えば、新時代の捜査の在り方も議論半ばですし、法曹養成制度についてもまだまだ議論を煮詰めていかなければならないことがあります。
そのような中で入国管理の関係では、日本への外国人旅行者一千万人を達成することができました。これは前に自民党が政権にいた頃から観光立国を目指して、一千万人ビジット・ジャパンとかYOKOSO!JAPANというキャンペーンを行ってきました。私も短い期間とはいえ国土交通大臣を務めていまして、2011年の東日本大震災等若干厳しかった時期もありましたが、ようやく一千万人の目標が達成できた。そして法務省としてもその達成のために尽力をしてきたので、感慨深いものがありました。その他、入国管理に関してはオリンピック、パラリンピックが7年後にありますので、今後さらに様々な工夫を重ねていかなければならないだろうと思っています。
8月にはルーマニア、フランスに出張して、両国のカウンターパートの方たちと実りある幅広い協議をすることができました。特にフランスとは今まで検察官や、これは私の仕事というか裁判所の仕事ですが、裁判官の交流は活発にあったのですが、今後は矯正等についてもいろいろな交流を進めていくことになりました。社会内処遇や再犯防止を進めていく上で各国の経験を学び、意見交換をしていくことは意味のあることだと思っています。
東日本大震災をどう乗り越えていくかというのは、引き続き我が国の大きな課題です。法務行政についても課題が残っています。東北への視察もしているのですが、今後もさらに力を入れていかなければならないだろうと思っています。
東北に限らず、様々な施設の視察等もある程度はできました。都内、山口の美祢社会復帰促進センターなど全国各地を訪ねましたが、その中で印象深かったのは東京都小平市のハンセン病施設に行ったことで、過去における日本のハンセン病に対する対応というものを見ることができ、いろいろ学ぶことがありました。
また、京都では交通事故もありましたが、花火大会における事故や水害等々の出来事がありました。事故や災害等々も原因究明や被害者対応を含む事後対策等々に難しい局面があるということも合わせて感じていまして、地元議員としてそのような取り組みも必要だと思っています。
今年を振り返ると様々なことがありましたが、初めに述べましたように処理をしなければならない案件がたくさんあります。来年も国会で法案を通すために大車輪で努力をしなければいけないと思っています。少子化時代ですが、法案処理という面では多産でなければなりません。年末年始、少し鋭気を養って、2014年に臨みたいと思っています。
最後になりましたが、新年が皆様にとりまして良い年になることをお祈りいたします。
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