8月16日からルーマニア、フランスを訪問して、25日に帰国しました。
ルーマニアではカザンチウク法務大臣と会談して、司法制度の改革など、法務行政が抱える諸課題について意見交換を行い、また、今後の両国の協力関係の強化などを内容とする共同声明に署名をしました。カザンチウク大臣は司法関係者の育成や裁判の迅速化など、司法制度の改革に対して非常に強い意欲をお持ちの方で、この共同声明の署名によって両国間における経験や情報の共有化等も推進されていくと考えています。
法務大臣だけでなく、ポンタ首相、コルラツェアン外務大臣とそれぞれ会談し、閣僚として両国間における政治、外交、あるいは経済などに対する意見交換を行うことができました。
更に、男子、女子それぞれの刑務所を視察し、また、刑務所出所者などが公益奉仕事業として、例えばコンピューターなどの廃棄物を解体する施設を訪問しました。いずれの施設も我が国におけるものとは相当様相が異なるものであり、大変興味深いものでした。
次に訪ねたフランスでは、トビラ司法大臣や日本の最高裁に相当する破棄院のラマンダ院長と会談をしました。日本におけるいわゆる裁判員制度、つまり刑事裁判への国民参加や先の国会で成立した刑の一部執行猶予制度、どちらもフランスの制度を相当程度参考にしています。そこで、トビラ大臣との会談ではそのような制度のフランスにおける運用状況や、日本での取り組みについて意見交換をしました。
特に、フランスでは罪を犯した人に対して矯正をはかる際、刑務所等々中でのいわゆる施設内処遇だけというわけではなく、一般社会生活を通して矯正をしていく社会内処遇を積極的に行っているということで、その考え方、あるいは実情などを直接お聞きできたことは極めて意義深かったと思っています。
また、今まで判事や検事の交流などは随分ありましたが、トビラ大臣から矯正や更生保護分野における交流を現在よりも更に活発にさせたいという提案もいただき、私も大変いい提案として全く同意見であったので、この会談をきっかけとして今後人的な交流も含めて、矯正、更生保護分野の交流の活発化を期待するということを返答しました。今後、具体的に事務当局間でこのような問題が話し合われていくと考えています。
その他、フランスでは次の施設を視察しました。一つはモー・ショコナン行刑センター。この施設はパリの近くにあり、日本で言えば拘置所も含んでいる刑務所になります。もう一つはソーシャルファームであるジャルダン・ド・コカーニュ。これは8月15日の谷垣日記でも触れましたが、罪を犯した人たちがそうでない人たちと一緒になって農場で有機栽培の野菜などを作りながら社会復帰を図る、という施設です。いずれの施設においても罪を犯した人の社会復帰に向けた取り組みの実情などを詳しく聞くことができて、我が国の再犯防止対策を考える上で非常に参考になったと思っています。
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