先週から参議院選挙が始まりました。自由民主党の主張や私の思いを皆さんにお伝えし、自民党の参議院議員候補者にご支援を賜るべく、全国各地を遊説しています。今日の谷垣日記はその演説の一部を掲載させていただきます。
今回の参議院選挙の争点は一体何か。各党の党首のお訴えやマスコミを見ますと、アベノミクスがちゃんとうまくいくかどうか。国民のためにアベノミクスが役立つかどうかが争点だと言う方もいらっしゃる。また、憲法改正が争点だと言う方もいらっしゃる。憲法が制定されて60数年経って、もう一回見直すべきところがあるんじゃないかというのも一つの争点であることは、私は間違いないと思います。
だけど、私は、本当のところ争点はそれじゃないんじゃないかと思うんです。
実は、私、総裁の時に、野党である私のところに海外からお客さんがたくさん見えました。「谷垣、自民党は一体、どうやってもう一回政権に戻ろうとしているんだ」と、いろんな海外の政治家から問い掛けがありました。
しかし、その時、私が強く感じたことは、「昔に比べると、ちょっと日本は海外から軽く見られるようになってきているんじゃないか」と、野党だったからひがんだのかもしれませが、このことを私は非常に気にしておりました。何でそういうことが起こったんだろうか。もう一回、日本を世界の中で存在感がある国にしていくにはどうしたらいいのだろうか。私は野党の間にそのことを一生懸命考えました。そして、原因が分かりました。
原因は小泉総理が5年半総理をおやりになって、お退きになった後、6年間、毎年毎年、総理大臣が一人ずつ代わりました。これは民主党政権の3年3カ月もそうでした。だけど、民主党だけの責任にはできません。自民党が政権をとっている間の最後の3年間は毎年毎年、総理大臣が代わったんです。
そして、ちょっと民主党の悪口を言うと、私の前の法務大臣、3年3カ月の民主党政権の間に何人代わったとお思いですか。9人代わったんですよ。3年3カ月の間の大臣が9人も代わったら、法務行政は安定しません。
実は、今度の選挙の争点は、どうやったら政治を安定させられるかどうかが争点ではないかと、私は思っているんです。皆さんは日本の政治に変革を求めたいという方がたくさんいらっしゃる。確かに改革はしなければなりません。しかし、それと同時に政治が安定して、生活が安定して欲しいということを皆さんは求めておられるに違いない。これはなかなか難しいんです。改革して、しかも安定せよ、というのはこんな難しいことはない。しかし、この国民の切実な問いに私たちは応えなければなりません。
じゃ、何で自民党の末期も、民主党政権の3年3カ月も1年に1回総理大臣をとっかえひっかえしなきゃならないのか。ならなかったのか。いろんなことがあります。だけど、突き詰めて言えば、それは衆議院と参議院がねじれる状態がずっと続いていたからです。
要するに衆議院選挙はだいたい3年に1回あります。3年に1回あるけれども、郵政選挙の時は自民党が勝った。次の民主党が政権を取った時は民主党が大きく勝った。去年の暮れの選挙では我々がまた大きく勝った。衆議院選挙はこのように振り子のように大きく振れています。そして、参議院の方も、3年に1回あって、要するに3年に2回ある国政選挙でいつも議席の数がぶれるんです。これが、私は総理大臣がしょっちゅう代わらなければならなかったことの根底にあると思います。
昔は同じ衆議院と参議院があったけど、こんなに不安定ではなかった。そのことに我々は大いに反省をしなきゃなりません。去年の暮れの選挙に勝って、都議選に勝って、この参議院選挙、自民党は安定しているという報道もある。そうじゃありません。私たちは安定した政治を作るために脇を締めて、そして腰を落として、皆さんの声によく耳を傾けながら、政治を進めていかなければなりません。
本当は、こういうねじれを解消して、安定した政治をするのを民主党がやってくれれば、民主党がやってもよかったんです。だけど、民主党はできなかった。今、東京の民主党の候補者を一人に絞ろうとしても、結局絞りきれないで、一人は無所属かもしれませんが、民主党の菅元総理はその無所属のところを応援に行ったりしている。これじゃ、安定した政治が作れるはずがない。そして、小沢元代表の乱暴な政治の結果によって、民主党も四分五裂して、野党で安定した体制を作れるところはどこもなくなっているんです。安定した政治を作れるかどうかの最大の責任は与党になった自民党に今来ているんです。
私は一つ申し上げたい。皆さんにご報告したいと思っているんです。6年前、私たちは安定した政治を作ることができなかった。そして民主党にはそれができないこともはっきりしている。自民党が安定した政治を作って行かなきゃなりません。それで、今、安定した政治を作るチャンスが生まれました。何か。それは安倍総理です。6年前、参議院選挙に負けて、体も壊して、退陣された時の安倍総理と、今の安倍総理は見違えるほど違います。安倍総理は恐らくこの6年間にいろいろお考えになったんでしょう。そして、人の声にもよく耳を傾けられたんだと思います。どうしたら、力強い日本を発信し、力強い日本の道筋を作っていくことができるか。一生懸命考えてこられたと思います。その結果、滑り出しは上々です。もう何とかしなきゃと思っている国民の気持ちに応え、皆さんも、「これだったら、何とかいけるんじゃないか」という気持ちが持てるように人の気持ちを安倍総理は変えました。私は、こういうことを言うと安倍総理に叱られるような気がします。「小学生じゃあるまいし、しばらく見ない間に成長したなんて、やめてくれ」って安倍総理は言うかもしれません。しかし、今、安倍総理を支える一閣僚として、6年前の安倍総理とは大きく違うことを皆さんにご報告できることを私は本当に嬉しく思っているんです。
そして、今、海外から来る外国の政治家も、「谷垣、日本は元気なったじゃないか。アベノミクスはどこまで行けるんだ」というような質問をされてくるようになった。だいぶ日本の重みというものが海外にも再び理解されるようになったんです。
もちろん大事なのはこれからです。秋になると具体的にさばかなければならないことがたくさん出てきます。もう、私は多くを申しません。
しかし、そのためには何としても参議院選挙で勝たせていただいて、この6年間の不安定の原因であったねじれを解消させていただきたい。そのために我が党の選挙区候補にも、そして比例代表候補にも、大きな、大きなお力添えを皆さんに是非是非賜りたいと思って、私はここに立たせていただきました。どうぞ、どうぞ、皆さんのお力で自由民主党に安定した政治を作らせて下さい。
心からお願いを申し上げまして、私のお訴えと致します。暑い中、ありがとうございました。
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