選挙をやって自民党中心の政権ができるように努力、精進することが前提ですが、政権を取り戻したら、真っ先に考えなければならないのは、日本の外交をもう一度立て直すことだと思います。
もちろんこれには対中関係、対韓関係の立て直しが含まれることは当然ですが、背景を考えていくと、結局、日米関係、日米安保の立て直しをやらなければなりません。このことは、私が縷々言葉を並べる必要はないと思います。
さらに述べるならば、外交関係の立て直しの基礎として、必ずやらなければならないことは国力の充実です。国力の充実がなくて外交関係の立て直しというのは難しいと私は思っています。周辺諸国から日本は日が沈んでいく国であると思われれば、なかなか外交関係の立て直しも難しい。したがって、日本は日の沈む国ではない、日が昇っていく国なんだということを示す必要があると思います。
そのための具体的方策を「有隣会」で十分議論していかなければなりません。
今の政治を見ていると、必要なことはしっかりとした政策を打ち立てるということだけではないだろうと思います。政治のあり様と言うか、政治を進めていく手法が相当混迷していることは間違いありません。
どのようにしたら安定した政治を作っていけるのか。極々単純化していえば、自民党が政権を担ってきたときの政治を安定させる方程式というのは、まず衆参で多数を占めることというのが基本であったのは間違いありません。衆参で多数を占めて、その時の自民党執行部が与党を掌握していく姿を作る。昔は派閥支配というものが相当グリップが効いていましたから、いくつかの主要派閥に幹事長や政調会長といったポストを配って、「君たちは主流派なんだ」「そうだおれたちは主流派なんだ」と団結すればある程度安定するという構造がありました。
しかし今は衆参両方で多数を占めるというのがなかなか難しい状況になっていることも事実ですし、我が党の中もかつての派閥がグリップを効かせる時代は過ぎつつあると思います。そういう中で安定した政治は何かという方程式を作るのは簡単ではありません。その新しい安定した政治を作る方程式とはいったいなんなんだろうかということも、我々が「有隣会」で研究し、またその研究のもとに行動していく大きなテーマでなければならないと思います。
霞が関でトップとかトップに近いところを極められて退官をされる方と意見交換をする機会がありますが、彼らといろいろ話をしていると、政治と行政の信頼関係が大きく損なわれているという認識を持っておられる方が多いと思います。大臣、政務三役といわれる方々と役所の幹部が十分に信頼関係を作られていないという現状があるように思います。ですから、自民党が政権を取り返すことができたら、そのことも立て直さないと物事がなかなか進んでいかない状況であると思います。一つ一つの政策だけではなしに政と官の関係を立て直すのも、必要な政策を実現していくためには、基本的に大事だと思っています。平生から、どういうふうにしたらそういうことができるのかということも念頭に置いて精進をする必要があると思っています。
いずれにせよ、今、日本の政治は非常に難しいところに来ているわけですから、「有隣会」の勉強の場で大いに議論を闘わせて少しでも国家国民のために役立ちたいと思っています。
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