200日を超える長丁場となった第180国会が終わりました。
この国会で一番特筆すべきことは、社会保障と税の一体改革法案が成立したことだと思います。
この法案の成立は、我が党からすれば参議院選挙の公約にも掲げた従来の主張を実現し、また有権者に決まらない政治への苛立ちがある中で、ねじれ国会でも与野党協力して政策を進めるという一つの例を開いた意味で非常に大きなものでした。これは、野田総理が政治生命をかけると言いましたが、野党・自民党としても政治生命をかけた厳しい決断でありました。
他方、民主党の方からすればこの法案の成立によってやらないと言っていた消費増税をやる。加えて、マニフェストで約束していた社会保障の目玉政策は実現不可能になった。マニフェスト違反が明確になりました。その結果、民主党も分裂し、今の政権基盤の流動化、崩壊が起こったことも特筆すべきことでした。
様々なことからこの国会で浮き彫りになったのは、今の民主党政権の国政を遂行していく能力が完全に壁にぶつかっていることです。
まず内閣提出の法案の成立率が57.5%という前代未聞の低い数字であった。ここに政権担当能力の欠如が明白に表れていると思います。
例えば、新しく原子力の安全性をしっかりと作り上げていこうと与野党で合意して原子力規制委員会が設置されました。そして政権は国会が閉じている間に行政権でこの規制委員会の人事を決めてしまおうとしているのです。しかし、このような規定は国会が開会していない時に人事上などの問題が起こった時に、活用すべく作られているのです。もう1か月以上前の会期中に人事案を国会に提出しておきながら、与党の中の混乱でこの人事を採決できないという事態を想定して作られたものではありません。ここに政府与党のグリップ力の欠如が隠し難い状況になっていると思います。
また、改めて詳しくは述べませんが、外交についても進めていく能力が限界に来ていることは明らかになっています。
他方、自民党は47本の議員立法を提出し、そのうち31本、66%が成立したのです。その中には、社会保障改革推進法、郵政民営化改正法、大都市地域特別区設置法、原子力規制委員会設置法等々がありますが、このような形で国民生活に遅滞をもたらさないように、野党としても決められる政治、決める政治を推進していったということです。
それから今国会、早期解散を獲得したということも明確に言わなければならないと思います。民主党が分裂をした。野田総理に対する問責も可決した。臨時国会での解散は不可避であります。単に問責があるから解散が不可避というのではなくて、今まで縷々指摘しています通り、我が国の政策を進めるための解散が必要になっている。新しい政治体制を作ることが必要になっているのです。
会見で総理は懸案事項の処理ができなかったことをあたかも野党のせいであるかのごとく発言していました。これは誠にお門違いです。特例公債法について、自民党は予算の組み替え動議等出していて、これらを一顧だにせずに強行採決のような形で衆議院を通し、参議院に送った。そういうことでは参議院の勢力図からしても成立しないことは明らかです。国対委員長、政調会長の会談においても、我々は「予算の無駄を省けば、この特例公債法は通す」と言ってきたのであって、これを野党のせいにするのは筋違いです。一票の格差是正も強行採決という形で参議院に持っていけば廃案になるのは目に見えていることで、法案の成立について極めて不真面目な態度であったと思います。与党案は廃案になりましたが、私たちの自民党案は継続審議となっていますので、その気になればいつでも通せるという状況です。原子力規制委員会の人事でも混乱があったのは、先ほど触れたように決して野党が反対したからではありません。
総理は会見であまり触れていませんでしたが、8月8日の3党党首会談で早期解散を合意しました。これは極めて重要な点であり、自民党としては当然速やかな履行を求めていきます。また、問責の可決で参議院は動いていかないことが明らかになっています。総理はこれらの声を謙虚かつ真摯に受け止めるべきです。
以上を総括すると、決められない政治の原因は民主党にあることが明確になった第180国会でありました。
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