普天間基地移設問題は、明日にも閣議で取りまとめるとされていますが、「政府与党、地元、米国との合意で決着することに職を賭す」という総理発言に明らかに反した結果になります。
5月末決着で総理が明言した「全ての関係者を含めた合意取り付け」は不可能であることが、既に明らかになってきています。そうなると、内閣総理大臣を辞職するか、あるいは解散して国民に信を問うということでなければならないと考えます。関係閣僚も連帯責任を免れないと言わざるを得ません。
交渉や決定のプロセスについても、大きな欠陥があることを指摘しておかなければなりません。
第一は、政府与党内での合意がないということです。
閣内にいる福島みずほ消費者担当大臣が独自に沖縄訪問、辺野古への移設反対の意思を表明しています。社民党は、閣議でも署名しないということです。これは閣内不一致どころか、「閣分裂」と表現しなければならないと思います。
第二に、発表の仕方もよく注意しなければいけません。
日米共同声明と閣議での政府対処方針、片方には辺野古という具体的地名を入れ、もう一方には入れない。そのような書き分けがあってはならないと考えます。そうした場合は、二枚舌と言わざるを得ません。
三点目に、沖縄との合意がないということです。
頭越しの交渉はしないと言っていましたが、米国との合意を優先して地元に押し付けるということになってきました。徳之島についても同じことが言えます。交渉の順序が逆であります。総理は、「思い」という言葉を多用されます。重い「思い」とおっしゃるのですが、大変軽い発言が続いています。地元の思いを軽視し過ぎている。「沖縄パッシング」と言わざるを得ない。
こういう交渉の進め方は認められません。
アメリカとの間では、概ね現行案で合意するということですが、これまでの経緯で日米の信頼関係は大きく崩れてしまいました。
東アジア情勢が緊張を増す中で、今後の日米安保体制について、前向きな議論が進んでいくことが、残念ながら期待できません。議論ができない環境であるということです。安全保障問題でジャパンパッシングが進むことが非常に心配です。
事態をここまで混乱、深刻化させた鳩山総理、鳩山内閣の責任は極めて大きく、内閣不信任決議案の提出も視野に入れなければならないと考えます。
明日の発表も見た上で、鳩山政権の責任をただしていきます。
次に、口蹄疫について申し上げます。与野党を越えた各位の尽力で、明日にも口蹄疫対策緊急措置法が成立することになりました。これは大変望ましいことで、これを受けて速やかな対策が講じられることを強く期待したいとおもいます。
しかしながら、初動、その後の対応が遅れたことによって、被害をここまで拡大させた政府の結果責任というものが、当然問われなければなりません。赤松農相に対する不信任決議案を明日以降にも提出して、政府の責任を厳しくただしていきます。
それから3番目に、特に今日申し上げておかなければならないのは、与党の異常な国会運営についてです。
一昨日、与党は放送法を強行採決しました。われわれは近藤昭一総務委員長の解任決議案を提出しましたが、理事会や理事にも諮らず、本日の総務委員会、定例日ではない明日28日(金)の総務委員会も委員長職権で強引にセットされました。
委員長の職権による委員会のセットは今までなかったわけではありませんが、理事会ないし理事に諮らずに、委員長のみで、職権で委員会をセットすることは、長い委員会運営の中で前例のない暴挙であることを強く指摘せざるを得ません。
委員会中心主義において、委員会における審議は、極めて重要であり、この運営のルールも、長い間かけて作り上げてきた極めて大事なルールです。与野党で十分議論し合って、理事会等で合意形成を図るのは、委員長の務めでありますし、このような慣例を無視することが横行するならば、理事会はいったい何のためにあるのかということになってしまい、委員会中心主義という今の国会の構造そのものを完全に無視する極めて乱暴な行為だと私は考えます。
これは、郵政改革法案を早く審議して、選挙前に国会を通すために、このような暴挙、ルール無視をあえてしたということです。
郵政改革法案など選挙目当て、自分たちに都合の良いことは、数の力で強行採決する。一方、政治とカネとか、普天間基地移設問題とか、財政再建、こういった都合の悪いことは審議を拒否する。これでは、わが国の議会制民主主義が崩壊してしまいます。
わが党は私が先頭に立って、野党で共闘して、この横暴に立ち向かっていかなければならないと考えています。さらに、参議院選挙で与野党逆転して、内外の重要課題について、十分な議論が行われる体制、まともな国会をなんとしてでも作っていかなければならないという覚悟を新たにしているところです。
|